養殖鮭にアスタキサンチンを含んでいるか、ということに対し、否定的な見解を示す人もいるようです。例えば、養殖の鮭(サーモン)は狭い囲いの中に何千匹も押し込められるため、この衛生状況下では感染病防止のため大量の抗生物質が与えられ、結果的にアスタキサンチンを含まないなどなど。たしかに劣悪な環境下で育てれば、それは鮭に限らず、すべての畜産品が同じ道を辿るでしょう。しかし、ノルウェーのような高品質化かつ低価格化を実現している国では違います。

ノルウェーは、あの広大なフィヨルドを利用した超天然の生簀といってもいいような環境で養殖を行います。フィヨルドは近海を流れる暖流の影響により、冬でも海水が凍ることなく水温が安定し、陸から流れる雪解け水が魚の棲息に絶好の塩分濃度を生み出しています。ここに鮭の養殖場が作られるのです。ここでは、受精から水揚げ、生け簀の水流、水質、水温、エサの量(アスタキサンチンの量含む)にいたるまで、すべてが24時間体制でコンピューターで管理され、鮭の健康状態も定期的にチェックされるほどです。そして水揚げ後、生鮮品は水揚げ後数時間以内で0~4℃のなかで梱包され、通常2~3日以内には空輸で日本に到着するという驚きの流通速度を誇っています。しかもノルウェーでは鮭の養殖に携わるには、国(漁業庁)の特別免許が必要で、ノルウェー水産物輸出審議会で輸出業者の認可と登録が必要なくらいです。

このような品質管理と信用形成をキチンとしているからこそ、今やノルウェーは世界の鮭の養殖生産の約半分を誇る大国にまで上り詰めたのです。ノルウェーの挙国体制での育成システムを見れば、劣悪な環境などとは口が裂けてもいえないはずです。それでも養殖ものにアスタキサンチンの存在を疑うのならば、国産の天然ものを食べればいいだけのお話です。しかし、養殖ものにもキチンとしたものがあるということを忘れてはいけません。

アスタキサンチンだけでなく、養殖ものは天然ものにかなうわけがありません。しかし、より良いものを養殖で実現しようとしている努力もあるのです。今やマグロも養殖がなければ世界の需要量には追いつきません。アスタキサンチンを含む天然鮭が減少していくことと、(天然に比べれば劣るだろうけど)アスタキサンチンを含んでいる養殖鮭がなくなること、その判断は皆さんに委ねようと思います。